2013年6月21日金曜日

「世界一正確な心理テスト」という占い

しばらく前から表題にある「世界一正確な心理テスト」や「科学者が~」「FBIで~」のような文句をタイトルに掲げた占い系アプリケーションを使う人が増えている。

「占い系」と書いたが、このblogを読みに来るような方の多くがご存じの通り、多くの心理テストというのは特に根拠がない、もしくは個人的な体験を元に作成され、結果の妥当性が示されていないコンテンツに過ぎない。それなりに工夫がされていれば、どのような結果が出てもそれなりに自分に当てはまると思える程度に調整されているかも知れないが。

人間の性格は様々な要素から成り立っており、大ざっぱに一桁の選択肢で分類出来るほど簡単ではないし、曖昧な質問に対する人間の返答というのは直前の体験やその時々の気分によって簡単に変化する。実際にどういう性質を持っているのか判断するのに、臨床心理士などのプロが存在するのは、機械的に簡単に判断できないからという理由に他ならない。

実際に本当に現場で使われているのかどうかは知らないが、例えばドラマや創作物などでよく見る心理テストでは、公園やリンゴの木、家族がくつろぐ場所などを絵で描かせたりする。しかし、実際に描かれたものは心理状態を反映したものではなく、直前に見た場所や情景の正確な描写であるかも知れない。
シチュエーションを示したテストは、簡単にコンテクストに上書きされてしまうので、一問だけでは成立しない。おそらくプロも複数のテストをし、言動や話の内容などから総合的な判断を下しているはずだ。

上記のように、Facebookなどで回って来る心理テストというのは実質的に占いと言える。ではそこに「世界一正確」「心理学者が~」「科学者が~」「FBIが~」とつくのは何故だろう? 有り体に言えば、占いを最もらしく見せるための演出に過ぎない。有り体に言えば嘘である。
本当にたった一問のどうでも良い質問で人間の性格がわかるなら、それは大いに自慢して良い成果だが、論文なり実験結果などが示されている事は皆無。当然、そんな論文は探したとしても見つからない。

とは言え、占いは占いとして楽しめるコンテンツではあると思っているので、そこに強く依存したり、その結果を人に押しつけたりして迷惑をかけなければ、楽しむのは個人の自由だ。
しかし、問題はここからだ。「世界一正確な心理テスト」という名前をつけた占いを作成し、それをFacebookのアプリケーションとしてわざわざ公開している理由はなんだろう?
例えば、製品のキャンペーンなどでそうした「~診断」や「~占い」を作成し、物珍しい、目新しい結果を共有し、結果宣伝になる、というのならば納得できる。

しかし、上記のような心理テスト風占いはそうした企業とは連動していないし、特に何が目的という事も書かれていない。しかし、何の利益もなくああいったものが次々と出て来るわけはない。
ある程度SNSに詳しい人間ならば自明だろうが、ああいったアプリケーションはユーザーを集め、Facebookと連携する事で多くのユーザーのデータを収集していると言われている。

実際、収集されたデータがどう使われるのか、データを取られた場合にどう実害があるのかという点については具体的に何とも言えないが、派手で安っぽい嘘の文言でユーザーの気を引き、個人情報を収集しているような会社や団体のやる事なので、想像に難くはない。

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